
- 1 1-3月の米国株式市場の動向
- 2 1-3月の為替市場の動向
- 3 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式マザーファンドにおけるパフォーマンス寄与度
- 4 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式のファンドマネージャーの今後の見通し
- 5 2020年6月末時点のポジション
- 6 6月市場概況
- 7 6月運用概況
- 8 7月以降の今後の見通し
- 9 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの評判とは?
- 10 ティー・ロウ・プライスが運用アドバイスしているファンドは?
- 11 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの特徴は?
- 12 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの投資テーマ例は?
- 13 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの類似ファンドは?
- 14 ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの評価は? 5月1日更新
1-3月の米国株式市場の動向
当四半期の米国株式市場の騰落率は▲ 18 . 93 % でし た。
1 月は堅調な企業業績や米中通商交渉の第一段階の 合意を好感し堅調に推移したものの、当初は局地的な 問題に留まるとみられていた新型コロナウイルスの感染が 世界的な流行に至ったことで2 月末から3 月半ばにかけて 大幅に下落しました。石油輸出国機構( OPEC ) とロ シアの追加減産協議が決裂し、サウジアラビアが原油増 産に踏み切り、原油価格が急落したことも株式から金や 米国債等の安全資産への資金移動の動きを加速させま した。
3 月に入ると全米で感染者数が急激に増加し、各州が 感染拡大を抑制するために行動制限を導入したことで、 経済活動の停止が企業業績の悪化、失業率の上昇を 招くという懸念が高まり大幅下落しました。
米連邦準備理事会( FRB) が金融市場の安定化を目 指し実質的なゼロ金利政策の導入と無制限の資産買 入を決定し、米政府も党派の違いを乗り越えて過去に 例を見ない規模の財政政策の導入を決定したことで株 価は期末にかけて反発しました。
◆2020年1-3月期のS&P500指数(米ドルベース)の推移
1-3月の為替市場の動向
当四半期の米ドル( 対円) の騰落率は▲ 0 . 67 % でし た。1月初めから2 月半ばまでは小幅な値動きに留まりました。
2月後半から3 月初旬にかけ、日米金利差の縮小観測、 原油安により有事の円買いで円高が進行しました。
3月半ば以降は、世界的な景気減速懸念とともに資金 繰りへの懸念が高まったことで、流動性が最も高い国際 決済通貨であるドルを求める動きが強まり、急速にドル 高が進行しました。
その後はFRBが無制限の資産購入を決定し、海外中銀 とスワップ協定を締結するなど、ドル供給政策を拡大した ことで値動きの荒い展開に歯止めがかかりました。
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式マザーファンドにおけるパフォーマンス寄与度
<プラス寄与の銘柄>
在宅時間の増加が需要増に繋がる銘柄
- ビデオストリーミング、ネット通販、PC 買い 替え需要、データセンター投資の恩恵を受 ける半導体関連
個別要因が好感された銘柄
- 富裕層をターゲットとしており景気後退の 業績への影響が限定的
- 新製品の認可を想定より早期に取得
<マイナス寄与の銘柄>
需要低下が見込まれる銘柄
- 旅行関連、企業の予算削減の影響を受けるデジタル広告関連
サプライチェーンの中国への依存度が高く生産 の正常化までに時間を要する銘柄
上位5 銘柄 | 寄与度(%) | |
1 | テスラ | 0.51 |
2 | ネットフリックス | 0.33 |
3 | アマゾン・ドット・コム | 0.31 |
4 | バーテックス・ファーマシューティカルズ | 0.09 |
5 | エヌビディア | 0.09 |
下位5 銘柄 | 寄与度(%) | |
1 | ボーイング | -1.34 |
2 | フェイスブック | -1.17 |
3 | アルファベット | -0.94 |
4 | アップル | -0.70 |
5 | マスターカード | -0.69 |
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式のファンドマネージャーの今後の見通し
景気後退は避けられないが行動制限緩和の兆しも
現在、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために課された厳しい行動制限により経 済活動が停止しています。その影響は広範なセクターに及んでおり、今年前半は世界的に 景気後退に陥るのは避けられない状況です。 我々は基本的に、今後次第に感染者数が
ピークアウトし、夏頃にはある程度人々は通常の生活を取り戻すとみています。一時はイ タリアのような医療崩壊に至るかと懸念しましたが、最も状況が深刻だったニューヨーク州で は、段階的な行動制限の緩和へ向けた判断材料についての議論が始まっており、すでに 行動制限の緩和に動き始めている州も存在します。しかしながら、冬にかけてウイルス感染 の第二波が発生する可能性には留意が必要です。また、夏場に入っても感染収束が見込 めず、外出制限が延長されるようであれば追加的な財政政策導入の必要が生じるでしょう
財政・金融政策が下支え役となり一旦感染が収束すれば反発が見込める
今回の危機はウイルス感染の広がりといういわば自然災害がもたらしたものであり、2008 年の世界金融危機のよ うに過剰な債務の積み上がりが引き起こしたものとは性質が異なります。そのため、一旦感染に歯止めがかかれば、
その後の経済復興をさえぎる負の力はそれほど大きくないことから、 力強い景気回復の可能性もあるとみています。 米国政府が発表した財政政策はこれまでに例を見ない大規模なものであるのに加え、足元でも追加策等の柔軟 な対策が採られており、政府があらゆる手段を講じて雇用と産業の維持を図っている点は評価できます。
引き続き財務基盤の精査と綿密な企業調査に注力
状況が日々変化する中、運用チームは総力を挙げて情報の分析に取り組んでいます。外出制限により通常の企 業訪問が行えない状況下においても、企業の経営陣や各分野の専門家と電話会議やビデオ会議を行い、ウイル ス感染拡大がセクターや個別企業の業績に及ぼす影響を分析しています。2020 年3 月における経営陣との電話 会議、ビデオ会議の回数は前年同月比5 倍超に上り、アナリストの調査メモも通常の約1 . 5 倍の数に達してい ます。また、営業停止による企業の資金繰りの悪化が懸念される状況下、社債の償還日、償還条件等、細部に 至るまで財務基盤を分析することが非常に重要です。私は、アナリストに対し、現在のように不確定要素が多い状 況においては、自分が考える最悪シナリオではなく、現状が永遠に続く前提で各企業の流動性を分析するよう要請 しています。財務基盤の精査においては、世界金融危機発生前にサブプライムローンの問題を提起し売却推奨し た実績を持つ債券運用リサーチ部門と緊密に連携し、資金調達の難易度や個別発行体企業の資金繰り状況な どを精査しています。
コロナ後の世界を見据える
現在は不確定要素が多いことから、足元の企業収益を予想するのは困難です。こういった中、長期的な視野に立 ち、危機後の世界がどのようなものになるかを考えることが必要になります。過去の例を見る限り、世界経済は大規 模な危機を経てさまざまな面でそれまでとは大きく変わる傾向があります。今回の危機もその意味では例外ではなく、 企業や業界によっては、根本的な変革を迫られる場合も考えられます。今回のケースにおいては、企業経営陣から 在宅勤務が予想以上にスムーズに進捗しているという話を聞くことが多くあり、 今後、在宅勤務はより一般化する のではないかと考えています。このトレンドから恩恵を受けると見込まれる企業として、在宅勤務を支援するソフト ウェア、クラウドコンピューティング、半導体( 自宅用PC買い替え需要、サーバー容量拡大へ向けた投資) 関連の 企業が挙げられます。また、外出制限によりオンライン通販を試した人々がその利便性に気づき、定期的に利用す るようになるケースもあるでしょう。
今回の危機でグローバルなサプライチェーンに潜むリスクが浮き彫りになりました。今後はサプライヤーの見直しが 進み、生産拠点の分散や自国に生産拠点を戻すケースも考えられ、政府もその動きを後押しする可能性がありま す。
「これまでに例を見ない規模の財政・金融政策の導入によりインフレ率が上昇するか」は非常に重要な点ですが、 判断するには時期尚早と考えており、今後の状況の進展を注意深く見守るつもりです。世界金融危機後も同様に インフレ率上昇が懸念されましたが、テクノロジーの進展により生産性が改善したことで、インフレ上昇には至りませ んでした。
当ファンドは、①持続成長銘柄、②循環成長銘柄、③特殊な成長銘柄という異なる成長の視点から、中長期的 に利益とキャッシュフローの2 桁成長が期待される銘柄への選別投資を行います。運用チームは、株価の変動性が 上昇するなかでも冷静さを失うことなく、 これまでと同様に長期的な視点を維持し、個別銘柄のファンダメンタル
ズ分析に基づくボトムアップアプローチを堅持しています。質が高く、良好な財務基盤を有し、今回の危機を同業 他社に先んじて乗り切り、危機後の世界においてより盤石な地位の確保を図ることができる企業に着目しています。
上記の見通しや財務状況の精査、株価の変動を受けて、相対的に株価が堅調に推移してきた銘柄や新型コロナ ウイルスの感染拡大による収益への悪影響が今後より一層拡大する可能性があると考えられる銘柄を一部売却し、 ファンダメンタルズに対して株価が割安な銘柄や危機がもたらした変化が業績にプラスの影響を及ぼしうる銘柄の購 入、買い増しを行っています。
購入・組入比率を引き上げた銘柄
1.業績悪化懸念で長期的なファンダメンタルズから株価が乖離した銘柄: 民間医療保険、カジノ、ホテル
2.経済活動停止が業績にプラスの影響を及ぼしうる企業: 実店舗とネット通販を効率的に融合したビジネ スモデルを擁する企業、モノの移動の制限によるサプライチェーンの分断から恩恵を受けるディスカウント小 売り
3.IT予算削減の影響を相対的に受けづらいSaa S ( インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービ ス) 関連銘柄、開発中の新薬を販売に結び付ける可能性が高く持続可能なキャッシュフローを誇るバイ オテクノロジー銘柄など
売却・組入比率を引き下げた銘柄
在宅時間の長期化、在宅勤務の広がりによる恩恵を反映し、相対的に株価が堅調に推移した銘柄 例: ビデオ会議システム、ビジネスチャットツール、チーム業務効率化アプリ等
持続成長銘柄の例: 会計分野のプラットフォーマーとして存在感を発揮するインテュイット
中小企業向けに税務、会計、給与計算、労務管理等のバックオフィス機能をサポートするためのソフトウェア、個 人向けの確定申告ソフト、会計士、税理士向けソフトウェアを提供。専門家がオンラインで難解な税務会計処理 をサポートすることで、顧客との関係をより緊密なものとし、価格引上げに成功。ソフトウェアのパッケージ販売からク ラウドベースでのソフトウェア提供に移行することで、予想可能で変動性の低い収益モデルに。他社の給与計算、 決済サービスとの連携、会計士と自営業者・ 中小企業のマッチング機能を通じ、 エコシステム「 One Intuit Ecosystem」を形成し、会計分野のプラットフォーマーとしての地位を確立。
循環成長銘柄の例: 特殊技術「EUVリソグラフィー」を有する唯一の存在ASMLホールディング
露光装置( ガラス板に電子回路のパターンを描いたフォトマスクを高性能なレンズで縮小し、シリコンの板に強い レーザー光を照射して感光させる) に特化した半導体製造装置メーカー。露光装置は半導体製造における最も 重要なプロセスを担う。次世代技術のEUV( Extreme Ultraviolet) リソグラフィー技術を有する唯一の会社 としてEUVリソグラフィー技術の共同開発プログラムを提案し、他社から出資を受け入れることで開発リスクの分散 と開発期間の短縮化に成功。部品を内製化せずシステム構築に特化し、顧客の要請に基づくプロセス構築を通じ 知識を蓄積。
特殊な成長銘柄の例: 被買収先の一体化に強みを発揮するローパーテクノロジーズ
各種ソフトウェア、Saa S 、医療・科学イメージング、産業技術( ポンプ、エネルギー制御装置) 等、多様な領域 で事業を展開するコングロマリット。ニッチ市場において高いシェアと利益率を誇るマーケットリーダーを買収し、顧客 との関係性の強化、利益の安定化を追求。買収対象をソフトウェア、ネットワークに絞ることでアセットライト( 最小 限の資産保有による効率的な企業運営) なビジネスモデルを志向し、潤沢な余剰キャッシュを更なる成長に向け た企業買収、戦略的領域に配分。
※当該銘柄の売買を推奨するものではありません。
2020年6月末時点のポジション
銘柄名 | セクター | 国 | 構成比 | |
1 | アマゾン・ドット・ ム | 一般消費財・サービス | 米国 | 8.8% |
2 | マイクロソフト | 情報技術 | 米国 | 7.1% |
3 | アルファベット (注1) | ュ ー シ ン サ ー ビ ス | 米国 | 5.4% |
4 | アップル | 情報技術 | 米国 | 5.0% |
5 | フェイスブック | ュ ー シ ン サ ー ビ ス | 米国 | 4.9% |
6 | ビザ | 情報技術 | 米国 | 3.2% |
7 | マスターカード | 情報技術 | 米国 | 2.9% |
8 | アリババ・グループ・ホールディング | 一般消費財・サービス | 中国 | 2.7% |
9 | ネットフリックス | ュ ー シ ン サ ー ビ ス | 米国 | 2.5% |
10 | セールスフォース・ドット ム | 情報技術 | 米国 | 2.0% |
6月市場概況
6月の米国株式市場は小幅続伸となりました(米ドルベース)。景気の「V字」回復や新型 ロナウイルスのワクチン開発への期待など が支援材料となった一方、感染の再拡大が上値を押さえました。
5月の雇用統計が、非農業部門雇用者数も失業率も、大幅悪化の事前予想に対して大幅改善を示すなど、経済活動が再開された 米国の景気急回復への期待から、上旬は堅調相場が続きました。しかし、テキサスやフロリダなどの南部州を中心に、 ロナ感染が再拡 大し始めたことを受け、市場は中旬に急反落。その後は、景気回復やワクチン開発への期待と感染拡大への不安とが交錯し、月末ま で一進一退の展開となりました。
S&P500指数の11セクター別パフォーマンス(トータルリターンベース)では、情報技術のほか、一般消費財・サービス、素材、資本
財・サービスといった「景気敏感」セクターが上昇した一方、公益事業やヘルス アといった「ディフェンシブ」セクターは下落しました。
6月運用概況
6月のファンドの騰落率は+3.26%となりました。
ュ ーシ ン・サービスセクターにおける銘柄選択がプラスに寄与しました。同セクターでは、スウェーデンに本拠を置き、米国をはじめ 世界中で事業を展開する音楽ストリー ングサービス最大手のスポティファイ・テクノロジーの組み入れが奏功しました。広告が挿入され
る代わりに無料で視聴が可能な「フリー アム」プランにけん引され、有料プランも含め、視聴契約が増加したことが株価を押し上げました。 複数の有力インフルエンサーとポッドキャスト(インターネット・テレビ/ラジオ)番組の独占配信契約を結んだことも株価押し上げ要因と
なりました。
一方、 ロナ感染の再拡大によってマイナスに寄与した銘柄もありました。電子決済サービスのグローバル・ペイメンツ(情報技術セク
ター)は旅行に伴う消費の回復、手術用機器のストライカー(ヘルス アセクター)は病床ひっ迫で先送りされていた高難度手術の再 開──に対する期待が後退し、当月の株価下落につながりました。しかし当運用では、グローバル・ペイメンツは競争力のある商品ライ ンナップや最近の買収後のシナジー効果、ストライカーは手術支援ロボットアーム「Mako」に代表される製品の技術力などにより、それぞ れ中長期的な収益成長が可能な有望企業との判断を維持しています。
7月以降の今後の見通し
景気の回復が進めば進むほど、さらなる持続的な回復は新型 ロナウイルスの抑制の可否に大きく依存することになるでしょう。市場に とっては、企業が現在の株価バリュエーシ ンを正当化するのに十分な収益力を回復するまでどのくらいの時間がかかるのか、あるいは、 景気回復が期待したほど急速に、あるいは均一に進まない可能性があるリスクを投資家がどれほど負担できるのかということが重要な問
題になります。また、リスク資産の上昇は、大規模な財政・金融刺激策によってもたらされたものであることにも留意しなければなりません。 不確実性が高い中、株価リターンはセクターや個別の銘柄によってばらつきが高まり、戦略的な投資アプローチで付加価値を生み出す には、機会を見極め、リスクを管理するための慎重な分析が必要になると考えられます。
このように、新型 ロナウイルスがもたらした今回の難局がどのくらい続くのか、どれほどの規模となるのか、現時点ではまだ定かではないた め、私たちは機動的な投資スタンスを維持し、局面が急展開した際に最も価値を生み出すと見込まれるアイデアに焦点を当てています。 これまで通り感性を研ぎ澄まし、確信度の高いアイデアの絞り込みを進めています。市場には雑音と不透明さが満ちあふれていますが、 ファンダメンタルズに注目して心理的要素と真の本源的価値とを見分けなければなりません。それには、私たちのグループを挙げた調査能 力や、広くて深い知識・経験が非常に大きな差別化要因になると考えています。
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの評判とは?
ティー・ロウ・プライス社は2018年に日本法人を立ち上げ、2019年から本格参入を行いました。日経新聞も2019年4月に「米運用大手ティー・ロウ・プライスは日本で個人投資家向けの資産運用事業に本格参入する。5月に同社として国内で初となる公募の投資信託を新規設定する。これまで日本では機関投資家向けの運用受託や私募投信を中心に事業を展開してきたが、投信の設定・運用を通じて幅広い個人に顧客のすそ野を広げる。傘下の日本法人、ティー・ロウ・プライス・ジャパン(東京・千代田、本田直之社長)が5月28日、世界の成長株に投資する投資信託「世界厳選成長株式ファンド」を新規設定する。野村証券を通じて個人投資家向けに販売する。当初申込期間は5月13~27日。ティー・ロウは1937年設立の独立系運用会社で、3月末時点の預かり運用資産は約1兆800億ドル(約120兆円)と世界の運用会社で上位30社に入る。運用資産の約8割を米国の個人投資家などの顧客が占めるが、日本ではこれまで投資できる商品が私募投信などに限られていた。近年では海外事業の拡充に力を入れており、オーストラリアなどにも拠点を設置。日本では18年に現地法人を設立した。投信の販売会社が頻繁な入れ替えで稼ぐ「回転売買」からの脱却を進めるなか、「長期保有に向いた運用商品への需要が大きくなってきた」」と報道しています。
米国では大手運用会社でアクティブファンドとしては非常に期待の大きい運用会社といえる
ティー・ロウ・プライスが運用アドバイスしているファンドは?
運用会社はセゾンや大和住銀となっているが、実質的に運用しているファンドは以前からあった。主なものは下記のものとなる。
運用残高とモーニングスターレーティングは2020年1月10日時点のもの
ファンド名 | 委託会社 | モーニングスターレーティング | 運用残高 |
セゾン 資産形成の達人ファンド | セゾン | ★★★★★ | 91,813百万円 |
財産四分法ファンド(毎月決算型) | 三井住友トラスト | ★★★★ | 13,807百万円 |
エマージング債券ファンド(毎月分配型) | 大和住銀 | ★★★★ | 6,967百万円 |
T.ロウ・プライスUSインカムファンド | 大和住銀 | ★★★★ | 7,465百万円 |
グローバル・ベスト・ファンド | 大和住銀 | ★★★★★ | 3,042百万円 |
エマージング社債オープン(毎月決算型)為替ヘッジあり | 三菱UFJ国際 | ★ | 584百万円 |
エマージング社債オープン(毎月決算型)為替ヘッジなし | 三菱UFJ国際 | ★★★ | 136百万円 |
USテクノロジー・イノベーターズ・ファンド | 三井住友 | ★★★★ | 20,875百万円 |
大和住銀DC外国株式ファンド | 大和住銀 | ★★★★★ | 42,063百万円 |
グローバル・スマート・イノベーション・オープン(年2回決算型) | 三菱UFJ国際 | ★★★★★ | 23,017百万円 |
グローバル・スマート・イノベーション・オープン(年1回決算型) | 三菱UFJ国際 | ★★★★★ | 7,464百万円 |
目立ったところではセゾン資産形成の達人ファンドだろうか。今回記事を書くにあたって初めてこのセゾン資産形成の達人ファンドがティー・ロウ・プライスがアドバイスしていることを知りました。セゾン資産形成の達人ファンドは非常に運用がうまく、セゾン投信のメインのセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドより評価が高かったのだが、その理由がティー・ロウ・プライスが監督していたとすれば納得です。
またモーニングスターレートでも株式ファンドでは5スターが多く非常に今実績が載っているファンドといえます。
※5スターを選べばよいわけではない。別途記事があるのでそちらを参照のこと。
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの特徴は?
ポイント1:創業者が立ち上げた第一号旗艦戦略
創業者のトーマス・ロウ・プライス Jr.が、成長企業への投資の成功を個人投資家に 提供したいという信念のもと、ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド戦略を1950年に立ち上げました。
その実績は米国株インデックスのリターンが6.3%なのに対して、ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンドは8.3%と2%近くも高い実績から、累積リターンでは150%近い差がついていることからもわかります。
過去の実績から見ても、1年だ最大49%マイナスになる可能性がある。しかし10年も持っていれば何とかほとんどの人はプラスになるし、20年も持っていれば最低でも5%になっている。5%が最低ラインだったとしたら悪くないんじゃないだろうか?
ポイント2:ボトムアップアプローチ
銘柄選択に関しては、個別企業分析に基づく「ボトム・アップ・アプローチ」を 重視した運用を行います。個別企業分析にあたっては、ティー・ロウ・プライス*2 のアナリストによる独自の企業調査情報を活用します
→ボトムアップアプローチとは企業と面談して、良い個別銘柄から全体のバランスをとる手法。非常に多くの企業面談と、独自の分析指標により高いリターンをもたらす手法。
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの投資テーマ例は?
革新的な創造的破壊者
技術革新などを武器に業界の勢力図を刷新するような先進的企業に投資しています。
例:クラウドコンピューティング、EC(電子商取引)、IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)
変化の正しい側に立つ企業
産業や需要などの構造変化に対し、優れた経営戦略や 生産効率などを武器に、変化を通じて事業基盤や市場 シェアを強化できる企業
例:オンライン化、クラウド化
ネットワーク効果のビジネスモデル
利用者が増えるにつれ、圧倒的優位なプラットフォームやサービス を築き、利用者の利便性を向上させるビジネスモデル
例:SN(S 交流サイト)、ネットメディア
顧客との強力な関係性
業界内で高い参入障壁を持ち、既存ユーザーの継続率が高く、独自性 のある技術やサービスで競合他社と差別化が可能な企業
例:ロボティクス、嗜好品、専門分野におけるクラウドソフト
「規模」の経済「、範囲」の経済
圧倒的な生産量や市場シェアで収益力を維持する「規模」 の経済、設備の高度化や共通化による製品範囲の拡張 で顧客ニーズにこたえる「範囲」の経済で優位に立つ企業例 :決済システム
魅力的な株価バリュエーション
現在の株価バリュエーションを、長期成長見通しを加味したうえで、過去 の水準、競合他社、業界平均、市場平均などと比較し、妥当性を検証
経営の質
優れた経営戦略、効果的なM&A(合併・買収)戦略、効率 的な資本配分など、経営陣の指導力や社内外における 信頼関係などを精査
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの類似ファンドは?
類似ファンドはいっぱいあります。キャピタル社あたりが近いかなと思ってみたら、意外にキャピタル社のは世界株しか日本にはありませんでした。
正直ティー・ロウ・プライスはいい運用会社だと思いますが、1か月で1500億円近くも売れるほどのファンドとは思いません。
良くも悪くも王道な運用をしていると思います。また米国のように投資家の数が大きい市場では、私はインデックス投資のほうが優位だと思いますので、あえてアクティブでなくともよいかもしれません。
あえてアクティブファンドに行く場合はダイワ米国厳選株ファンド -イーグルアイ- Bコース(為替ヘッジなし)あたりのバリュー株ファンドをお勧めします。
ファンド名 | 1年 | 3年 | 5年 |
AB・米国成長株投信Bコース(H無) | 32.30% | 18.26% | 12.32% |
DIAM 厳選米国株式ファンド 『愛称:アメリカンセレクション』 | 37.73% | 17.33% | 10.23% |
LM・米国・ラージ・キャップ・グロース・F 『愛称:アメリカンパワー』 | 29.39% | 13.79% | 10.06% |
米国成長株式ファンド | 35.60% | 17.86% | 10.05% |
三井住友・NYダウ・ジョーンズ・インデックス | 23.79% | 12.11% | 9.01% |
iシェアーズ 米国株式インデックス | 29.69% | 11.85% | 8.29% |
野村 米国ブランド株投資(米ドル)毎月 | 33.13% | 17.19% | 8.02% |
米国製造業株式ファンド 『愛称:USルネサンス』 | 30.76% | 14.66% | 7.91% |
DIAM ジャナス米国中小型株式ファンド | 25.46% | 11.70% | 7.87% |
次世代米国代表株ファンド 『愛称:メジャー・リーダー』 | 22.50% | 11.34% | 7.39% |
BR 米国小型成長株式オープンA(H無) | 33.16% | 10.11% | 7.35% |
米国成長株オープン 『愛称:成長大陸』 | 26.84% | 12.67% | 7.15% |
US成長株オープン(円ヘッジなしコース) | 26.27% | 12.30% | 7.12% |
明治安田 アメリカ株式ファンド 『愛称:グレートイーグル』 | 28.35% | 10.60% | 7.08% |
野村 米国ブランド株投資(資源国)毎月 | 33.42% | 16.88% | 6.90% |
米国連続増配成長株オープン 『愛称:女神さま・オープン』 | 25.78% | 11.19% | 6.81% |
三菱UFJ 米国配当成長株F〈H無〉 『愛称:ザ・レジェンド』 | 24.45% | 9.96% | 6.62% |
米国小型ハイクオリティファンド(資産成長) | 27.47% | 7.64% | 6.43% |
アメリカン・ドリーム・ファンド | 32.27% | 9.84% | 6.21% |
フィデリティ・米国優良株・ファンド | 32.25% | 10.57% | 6.13% |
米国厳選成長株集中投資ファンドB(H無) 『愛称:新世紀アメリカ -Yes,We Can! -』 | 34.17% | 15.89% | 6.09% |
JPM 北米高配当・成長株F(H無、3カ月) | 24.70% | 8.81% | 6.08% |
アメリカン・ニュー・ステージ・オープン | 30.27% | 9.34% | 6.00% |
GS 米国成長株集中投資ファンド 毎月決算 | 32.86% | 15.33% | 5.94% |
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドのコストは?
販売手数料3.3%
信託報酬年1.463%
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンドの評価は? 5月1日更新
どうしてもみずほ証券が1500億円を売り切ったというほうが頭に残ってしまい、ティー・ロウ・プライスをあえてお勧めしたいという気にあまりなりませんでした。
確かにティー・ロウ・プライスの株式は総じて優秀ですが、Mid-Cap Growth Fundとかヘルスケアとか、組み合わせ的に面白いファンドがあるのでそちらのほうが出てくるのが楽しみですね。
ティー・ロウ・プライスは1950年から運用していますが、評価が上がったのはここ20年程です。
お勧め度 ★★★★☆ 運用会社は間違いなく一流ですね。
投資タイミング ★★★★☆ テクノロジー系が多く多少割高感があるかと
革新性 ★☆☆☆☆ 何の変哲もないボトムアップアプローチです。革新性が低い場合は安心感がありメインにしやすいとも言えます。
期待リターン ★★★☆☆ 直近10年が良すぎましたね。
安定度 ★★★☆☆ 通常の先進国株の範囲です。
■保有銘柄 基準日:2020年03月31日
組入銘柄上位 | ||
銘柄名 | 構成比 | |
1 | アマゾン・ドット・コム | 8.84% |
2 | マイクロソフト | 6.93% |
3 | アルファベット (注1) | 5.87% |
4 | フェイスブック | 4.85% |
5 | アップル | 4.69% |
6 | ビザ | 3.66% |
7 | マスターカード | 3.42% |
8 | アリババ・グループ・ホールディング | 2.69% |
9 | ネットフリックス | 2.50% |
10 | フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ | 2.07% |