毎月分配型ファンドからの資金流出が激化している。国内公募追加型株式投信のうち毎月分配金を出すタイプの投資信託の純資金の流出入額を確認したところ、20年3月では822億円もの資金流出超となっており、流出額としては2019年4月以来の高水準となった模様だ。
ピクテグローバルインカムを中心に2020年1月には410億円の純資金流入となり、3カ月連続で流入超を継続していたが、2月以降に再び流出基調が強まっている。
分類全体としては流出超となった毎月分配型投資信託だが、アセットクラス別では明暗が大分分かれている。分類毎に3月の流出入の内訳を確認して見ると、国際債券が1162億円、国内債券が138億円の純流出となっている一方、国際株式が311億円、国内REITが196億円の純流入となっている。コロナショックの急落の中で投資家は債券ファンドから資金が流出し、株式・REITファンドに資金を入れ替える傾向が顕著になっている。
債券型毎月分配ファンドから資金が流出しているのは、コロナショック以降の主要中央銀行の金融緩和による金利低下で魅力が薄れたためと、急な株安により株式への投資資金の確保のためと考えられる。
債券投資信託では、国際債券型投資信託に属するグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)から47億円、大和国債ファンド(毎月分配型)から30億円を超の資金流出が起きている。
投資信託の中で3月の流出金額が最大のファンドはバランス型ファンドである「東京海上・円資産バランスファンド(毎月分配型)」で113億円を超える流出となっている。東京海上・円資産バランスファンドのポートフォリオは国内債券が約7割を占めており、他の投資資金の原資になった可能性が高いだろう。
一方、低金利環境下では、高利回りREITとともに高配当型の株式型投資信託が債券に代わる投資信託として改めて存在感を増している。3月の最大の資金流入額159億円であったのは国内トップの「ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)」であった。また、「AB・米国成長株投信Dコース(Hなし)」にも、152億円を超える資金流入があり、人気を集めている。
「ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)」は公益株、「AB・米国成長株投信」は米国の成長株とタイプは大きく異なるが、公共銘柄を中心としたディフェンシブ銘柄と、成長株投資という比較的シンプルの投資対象という点では、わかりやすさが好まれていると思われる。