米国のETF(上場投資信託)市場では、新興国の株式に資金を還流させる動きが活発化している。12月19日の米モーニングスター「新興市場株」部門の純流入額は47億ドル(約。5134億円)で、一月以来の高水準となった。2019年は、五月から八月にかけて4か月連続で資金流出が続いたが、九月以降は十二月まで4か月連続で流入が継続した。
部門別の純流入額を見ると、12月「新興市場株」は、「米国株式の大型ブレンド」「外国株式の大型ブレンド」に次ぐ流入額となっている。個別ファンドでは、「iシェアーズ・コアMSCIエマージング・マーケットETF」が18億ドルで最も多く、「MSCIエマージング・マーケットETF」(EEM)が16億ドルだった。
IEMGはより安く、より長期的な投資に焦点を当てており、EEMはより流動性が高く、より短期的な取引に焦点を当てている。資金流入の面では、IEMGは2カ月連続でEEMを上回っており、新興市場株に対する長期的なスタンスが現在優勢である。
新興国株式のパフォーマンスをみると、代表的な指数であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスは、19年には18.90%と、先進国のMSCIワールド・インデックス(米ドルによる配当を含む)から9.51%出遅れていた。
近年は法人税減税を背景に好調な米国株を中心とした先進国に資金が流入していた。米国の株価の割高感もあり、長期的な成長性と割安感から新興国への資金流が加速しそうだ。
