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ヘッジファンドの45日ルールの真実

ヘッジファンドは昔に比べて報道されることが増え、先日もソフトバンクに対してアクティビストファンドであるエリオットマネジメントが株を買いましたことや、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド がソニーに対して半導体分離を求めるなど、徐々に話題になることが増えてきました。しかしまだまだ日本では実際にヘッジファンドに投資している人は少数派です。

 

せいぜいダブル・ブレインやマンAHLスマートレバレッジといったヘッジファンド型投資信託を通じて投資しているくらいでしょう。

 

そのためヘッジファンドとは何かをしっかり知っている人は少数派です。今回はヘッジファンドの45日ルールを通じてヘッジファンドを理解していきましょう。

ヘッジファンドの45日ルールとは

巷でよく言われているヘッジファンドの45日ルールとはヘッジファンドについては2つの条件があるためといわれています。

①ヘッジファンドは6月末と12月末の年2回しか解約できない
②ヘッジファンドは解約するときは45日以上前に解約の申し込みをしなければならない
この二つの要因のために6月末の45日前の5月中旬と、11月の中旬にヘッジファンドが解約に対応するためポジションを整理するため、市場が大きく下落するので注意するようにという格言のことを言います。

なぜ12月と6月なのか?

ヘッジファンドに投資している欧米の機関投資家が、12月決算と6月中間決算に合わせて、ポジションを整理するため売却すると考えられています。利益を出ているものと、損しているものを決算期に同時に売買することで節税を狙った施策をしたり増します。こうしたことを一般にドレッシング買い(ドレッシング売り)などと言ったりします。

45日ルールの影響で本当に5月中旬と11月中旬の前に相場が荒れるのか?

さてそれでは実際のデータを確認していきましょう

日経平均の2000年から2019年までの19年のデータで検証してみました。

データは全体像を理解できるように1月から12月までの最大値・最小値・平均値・中央値を示しています。

最大値 最小値 平均値 中央値 -5%以下の回数
1月 7.2% -11.2% -1.2% 0.3% 5
2月 10.6% -8.5% 0.7% 0.9% 3
3月 10.3% -7.3% 1.9% 1.8% 2
4月 11.8% -11.6% 1.4% 0.8% 3
5月 7.9% -11.7% -1.0% 0.8% 5
6月 7.8% -9.7% 0.6% 1.4% 3
7月 6.4% -9.7% -0.6% 0.1% 3
8月 8.2% -9.7% -1.1% -1.7% 4
9月 9.7% -13.2% 0.2% -0.3% 4
10月 9.7% -23.8% -0.3% 0.4% 4
11月 9.3% -6.9% 2.0% 2.6% 3
12月 13.0% -10.3% 1.9% 2.4% 3

それでは5月と11月を中心にみていきましょう。

5月は平均値は-1%と比較的低いですが、中央値は0.8%となっておりそこまで悪くありません。そして11月はむしろ平均値2%、中央値2.6%とほかに比べてかなり条件が良い月であることがわかります。

結論:検証した結果5月に関してはあまり良いデータではないが、11月に関してはむしろ良いデータとなっており、ヘッジファンドの45日ルールは実際には確認できない
また今回の45日ルールのほかにわかることは11月12月の年末は比較的高条件であることが多いようです。そして決算前の3月も比較的良いことが多いみたいですね。それに対して7月8月の夏枯れ相場は実際にあり、平均値も中央値も低いためあまり期待できない月といえそうです。また5月はセルインメイといわれるように―5%以上下がった回数が19年中5年あり、1月とともに大きな変動が起きやすい月といえそうです。ヘッジファンドの45日ルールよりはセルインメイを覚えていったほうが良いかもしれませんね。

なぜヘッジファンド45日ルールという誤解が広まったのか?

実のところ、銀行員や証券マンといった金融機関の人間でさえヘッジファンドの実態はよく知られていません。もともとヘッジファンドというのは規模としては証券会社などに比べると格段に小さく、大手の金融機関にとっては謎の大きい存在でした。

ヘッジファンドの運用残高が急激に増えてきたのは2000年以降のことです。そのころから日本市場の外国人投資家のシェアが急速に増えてきて、様々なうわさや神話が広まっていくことになります。その一つの神話がヘッジファンドの45日ルールというものだったです。

 

ヘッジファンド残高推移
ヘッジファンド残高推移

 

なぜヘッジファンドは解約前の通知期間が長いのか?

45日ルールは、解約日の45日前に申告する必要があるというルールですが、これは締め日の直前まで受付していたら、すぐにポジションを閉じなければいけないが、45日も余裕があれば徐々にポジションを下げていくことができるため「マーケットインパクト」を小さくするための工夫だったのです。つまり「45日ルール」を導入しているにもかかわらず市場にインパクトを与えるようなポジションの締め方をヘッジファンドがそもそもするはずがないのです。

また実は近年のヘッジファンドは解約申し込み締め切りは7日未満が17%、7-30日前までが47%とここまでで64%となっており、30日以上が36%と少数派になっています。

また解約受付日も月次ベース以下で73%が受け付けており、半年に一回という厳しい解約制限は少数派であることがわかります。ヘッジファンド解約通知期間

 

ここまでくるとはっきり言っておいたほうがいいですね。ヘッジファンドの45日ルールというのは全くのデマであり、市場に与える影響はほとんどないといっていいでしょう。

 

ヘッジファンドの報酬は決算期に決まるわけではない

ヘッジファンドにとって重要な報酬の一つに成功報酬があります。これは一般的に20%ほどの成功報酬をハイウォーターマーク方式でとっていくのですが、仮に年に一回決算期に成功報酬とした場合、1月にすごく儲かったらその後トレーディングをしなくなる可能性があります。また12月など決算が近くなった場合は利益を確定しようとして、大量にポジションを整理したり、先物をヘッジ売りなどをたくさんしてしまう可能性があります。そうしたことは売買コストがかかるため投資家のためにならず、実際にはヘッジファンドマネージャーにとっても望ましいことではありません。そうした事態を防ぐため、ハイウォーターマークの計算は多くは毎月、または四半期ベースで計算していくことが多いのです。そのためヘッジファンドマネージャーが自身の報酬のためドレッシング売りするということもありません。

 

ヘッジファンド45日ルールにとってとどめのデータ

ヘッジファンドの解約は6月と12月のみでないという事実をデータで見ていきましょう

SS&C GlobeOp Forward Redemption Indicator

これはヘッジファンドの事務管理会社大手SS&C GlobeOp が出していリデンプリョンインジケーターです。多少は凸凹していますがまんべんなく解約が出ていることがわかります。このデータからもわかる通り、ヘッジファンドの45日ルールは全くのデマであることがわかります。

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