有名アナリストの予想はなぜ当たらないのか?
なぜ有名アナリスト・ストラテジストの予想は当たらないのだろうか?
一部のアナリスト・ストラテジストは予想をたくさん外すため、曲がりやなどとも呼ばれ、反対のポジションをとることを進める向きも多い。
しかし外しまくるアナリストが、ずっとチーフアナリストだったりするのは不可解ではないだろうか?
実は多くの一般人に「無能」のレッテルを張られている多くのアナリストは
現場では非常に頼りになる優秀な人物であることが多い。
実のところ外しまくるアナリストの予想は、内容はしっかりしており、分析も理論構築も極めて高いことが多い。
だから業界関係者も一般向けの短期的な予想は「内容はいいのにあたらない」という評価で問題ないと思っているのだ。
彼らの予想は短期的な成果ではなく、もっと骨太な調査分析にこそ本分があるのだ。
当たらないのは能力が低いからではない
実のところ有名アナリストが予想を外すのには理由がある。
それは「少ない情報をもとに当たりにくい時期の投資判断をしているから」である。
例えばトランプ大統領が誕生する前と誕生する後では、運用方針は大きく変わる。
これはトランプ大統領誕生する前は、クリントンが勝つ可能性が高いという情報のもとに「薬価引き下げが行われる」と予想し、
トランプ大統領が成立した後は「薬価引き下げが行われない」ことを前提とし、むしろオバマケアの後退、撤廃が行われるという方針に変わるのだ。
これだけではない、2018年の間に、2019年の米国の政策金利が利下げに動くと予想できた人間がどれだけいるだろうか。
金融業界では「1年先の予想ができる」と考えている人間はまれだ。
2017年末は来年2018年のアナリストたちの市場展望はバラ色だった。2017年末に米国で大型の法人税減税が行われ、連邦法人税率は18年から35%から21%に引き下げられ、
米減税規模10年で1.5兆ドルという規模だったため、市場が浮足立つのも仕方がない。しかし実際には2018年は苦しみぬいた一年でした。2月には米国の対中政策の
転換が行われ、さらに4度の利上げはその影響をさらに拡大した。年末には米中間選挙が行われ、予想通り上院と下院でねじれ国会となり、民主党が予算権を獲得、
トランプ大統領が2期目に進むための行政づくりは主に外交面に絞られる結果となった。2018年の10月から12月の株価の下落は15%以上に上り、市場は意気消沈したまま
2019年を迎えることになります。2019年はダメな一年になる、そう思っていたところで突如降ってわいた、米FRBによる利下げ論です。トランプ大統領の圧力もありFRBは
利下げに傾いた。そのおかげで住宅販売件数などが伸び、堅調な雇用統計や給与の伸びは投資家を安心させました。一方米国だけでなく世界的に製造業は不振に苦しみ、
米IT系サービス業の好調と、中国、ドイツ、日本などの製造業大国の不振が対照的な展開となった。
とまあこんな感じで、潮の満ち引きのように相場も動いていく。その理由は新しく生じた事件によるもので、事前には予想できなかったということですね。
近い未来より遠い未来!?
今までいろいろ書いてきて、では将来が予想ができない中でどのように予想していけばよいのかと不安に思われたのではないだろうか?
実は当たりやすい未来もある。
例えば2014年に大学受験業界に衝撃が走ったた。業界大手のよう荻ゼミナールが校舎を20項閉鎖し、全国7港まで校舎を減らす方針を打ち出したのだ。
代々木ゼミナールは大学受験の浪人生を主な対象として事業運営をしてきたが、少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化していた。
これはある程度予想された未来だっただろう。昔から日本は少子高齢化が進むといわれていたからだ。
例えば上記の資料では2010時点で1684万にいた子供の数(年少人口)が2060年には791万人と半減する予想となっている。
0歳から14歳までの15年だと考えると1学年平均112万人から52万人まで減ることとなる。これでは、私立大学や私立高校は厳しくなると
言わざるを得ないだろう。
ここで注目したいのは高齢者の数は一定水準から伸びは止まるが割合が増えていくということだ。
つまり市場規模は203年ほどで頭打ちとなるので高齢者向けのビジネスも長期的に安泰というわけではない。
国別の平均年齢で見ても日本はもうすぐ50歳到達という環境である。
こうしたマクロデータをもととした資産運用は大きくは外れにくい。
運用は短期運用は難しくても、長期運用はマクロ経済のデータを利用することで
かなりの高い確率でリターンに結び付く王道の資産運用であると考えよう。